腰痛、首や肩のこり、頭痛、手足のしびれ、膝の痛み。こうした不調で整体を探すとき、「病院に行くほどではない気がするけれど、本当に整体でいいのか」と迷う方は少なくありません。

この記事は、その迷いに対する一覧です。症状ごとに、「すぐに119番」「整体より先に医療機関で確認」「整体で相談できること」の3つに分けて、同じ順序で並べました。厚生労働省の「こんな時は迷わず119へ」、公益社団法人 日本整形外科学会と日本頭痛学会の一般向け解説を根拠にしています。判断に迷ったときの目安として使ってください。診断の代わりになるものではなく、一覧に載っていない病気もあります。

HALII TOKYO.総院長 影島陽祐

SUPERVISOR / この記事の監修者

影島 陽祐

株式会社COmedi 執行役員 CTO
HALII TOKYO.総院長 / HALII Academy代表

資格鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師

  • Massage World Championship2025 特別セミナー登壇
  • Asia Massage Championship2026 特別セミナー登壇

整体と医療機関は、役割が違います

はじめに、前提を一つだけ共有させてください。

整体は、医師の診断や治療の代わりではありません。骨折や感染、腫瘍、神経の圧迫といった「原因そのものを医療機関で確かめる必要がある状態」は、整体の対象外です。厚生労働省の通知(平成3年 医事第58号)は、いわゆるカイロプラクティック療法について、対象とすることが適当でない疾患として腫瘍性・出血性・感染性の疾患、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、骨粗しょう症などと明確に診断されているものを挙げ、施術を続けても症状が軽くならない、または悪化する場合は、施術を中止して速やかに医療機関で精査を受けるよう求めています。整体はこの通知で直接定められた療法ではありませんが、手で身体に働きかける施術に通じる注意として、この記事でも参考にしています。

一方で、慢性的なこりや痛み、姿勢の癖、身体の使い方からくる不調は、整体で相談していただける範囲です。HALII TOKYO.でも、骨折の疑いがある、しびれが急に強くなった、麻痺があるといった場合は、まず整形外科の受診をご案内しており、提携している整形外科へのご紹介も行っています。ただし、突然のしびれや片側の脱力など、次の一覧の救急症状がある場合は、通常の受診案内より119番を優先してください。

この線引きを、症状ごとに具体的にしたのが、次の一覧です。

一覧:症状別・先に医療機関で確認したいサイン

白い机に置かれたノートと置時計
※AI生成によるイメージ画像です。

表は横にスクロールしてご覧いただけます。

症状 すぐに119番(救急車) 整体より先に医療機関で確認したいサイン 整体で相談できること
腰痛 突然、片方の脚に力が入らなくなった 安静にしていても痛みが軽くならない/しだいに悪化する/発熱がある/脚のしびれや力が入らない/尿漏れがある/転倒やケガのあと 医療機関で病気が否定されたうえでの、慢性的な腰の重さや張り、長時間の座り仕事・立ち仕事による負担、姿勢の癖
首・肩のこり 突然のしびれ/顔の半分が動きにくい/ろれつが回らない 手や腕のしびれ、ボタンの掛け外しや箸が不器用になった/歩くときに脚がもつれる/頭痛や吐き気、めまいを伴う/血圧や目・耳の病気の治療中 上記に当てはまらない、同じ姿勢が続くことによるこり、デスクワークやスマートフォンの使い方からくる首・肩の張り
頭痛 突然の激しい頭痛/ろれつが回らない、顔の片側がゆがむ、片方の手足に力が入らない/突然、物が二重に見える・見える範囲が狭くなる 今までに感じたことのない頭痛/頭を打ったあとに頭痛や嘔吐が続く(突然の脱力は119番)/発熱を伴う/毎朝の頭痛が続く/50歳以上でこめかみの頭痛が続く 医療機関で危険な頭痛ではないと確認されたうえでの、首・肩のこりに伴う締めつけられるような頭痛
手足のしびれ 突然のしびれ/突然、片方の腕や脚に力が入らなくなった 急に強くなった/細かい作業がしにくくなった/階段で手すりが必要になった/排尿・排便の異常を伴う 医療機関で神経の圧迫や病気が否定されたうえで残る、こりや姿勢に伴う軽いしびれ感
膝の痛み 突然、片方の脚に力が入らなくなった場合は119番 安静にしていても痛む/腫れて熱をもつ、水がたまる/膝が伸びにくい、歩行が難しい/ケガのあとに痛みが出た/立ち上がりや歩き始めの痛みが続く 医療機関で変形性膝関節症などの病気が確認・除外されたうえでの、股関節や足首の硬さからくる膝への負担

「すぐに119番」の列は、厚生労働省の「こんな時は迷わず119へ」で救急車を呼ぶ症状として挙げられているものです。整体の予約や問診はもちろん、通常の外来の予約も待たず、その場で119番に電話してください。

「整体より先に医療機関で確認」の列は、日本整形外科学会や日本頭痛学会の解説で受診を促している症状です。一つでも当てはまれば、整体の予約より先に、整形外科などの医療機関へ行ってください。

そして、この一覧はすべての病気を網羅していません。どの列にも当てはまらなくても、症状が続く、だんだん悪くなる、いつもと違うと感じるときは、医療機関で確認することを優先してください。

次に、症状ごとに少し詳しくご説明します。

腰痛

日本整形外科学会は、腰痛には腰そのものに由来するものだけでなく、血管・泌尿器・婦人科・消化器の病気や、心理的な要因によるものがあると説明しています。そのうえで、安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱している、下肢がしびれたり力が入らない、尿漏れがするといった症状を伴う場合は、放置したり自分で管理したりせず、すみやかに整形外科を受診するよう求めています。

急に片方の脚に力が入らなくなった場合は、受診を待たず119番です。上のサインに当てはまらず、医療機関で病気が否定された慢性的な腰の重さや張りについては、整体で相談していただけます。院では、腰だけを見るのではなく、股関節や背中の動き、座り方・立ち方の癖を検査で確認したうえで施術を組み立てます。

首・肩のこり

肩こりそのものは、同じ姿勢が続くこと、猫背や前かがみの姿勢、運動不足、ストレスなどが原因になると日本整形外科学会は説明しています。ただし同じ解説は、頸椎の病気、頭の中の病気、高血圧、目や耳鼻科の病気、肩関節の病気に伴う症状としての「肩こり」も少なくない、とも述べています。

とくに注意していただきたいのが、首の神経が圧迫される病気(頸椎症性脊髄症など)です。日本整形外科学会によると、ボタンの掛け外し、箸の使用、字を書くことが不器用になる、歩くときに脚がもつれる、階段で手すりが必要になる、といった症状で気づかれることがあります。こりだと思っていた症状にこうした変化が伴うときは、整体ではなく整形外科での検査が先です。

突然のしびれ、顔の半分が動きにくい、ろれつが回らないといった症状のいずれかが出たときは、こりとは別の緊急の病気の可能性があるため、迷わず119番に電話してください。これらに当てはまらず、姿勢や使い方からくると考えられる首・肩の張りは、整体で相談していただけます。それでも症状が続く場合は、一度医療機関で確認することをおすすめします。

頭痛

頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛のように頭痛そのものが病気であるものと、別の病気に伴って起こるもの(二次性頭痛)があります。厚生労働省は、突然の激しい頭痛、ろれつが回らない、顔の片側がゆがむ、片方の手足に力が入らないといった症状を、救急車を呼ぶ症状として挙げています。これらは整体の予約も通常の外来も待たず、119番です。

日本頭痛学会は、二次性頭痛を疑うサインとして、いつもと違う突然の強い頭痛、頭を打ったあとに続く頭痛や嘔吐、毎朝あって起き上がると数時間で少し改善する頭痛が続く場合、50歳以上でこめかみを中心とする頭痛が続く場合などを挙げています。首や肩のこりがあっても、こうした特徴があれば、整体や鍼灸より医療機関での確認を優先してください。

繰り返す頭痛は、痛み方だけで自己判断せず、一度医療機関で種類を確認しておくことをおすすめします。そのうえで、首・肩のこりに伴う締めつけられるような頭痛については、整体でこりや姿勢の面から相談していただけます。

手足のしびれ

しびれは、整体で見極めがもっとも難しい症状の一つです。神経が圧迫されているのか、血流の問題なのか、別の病気なのかは、整体の検査だけでは判断できません。

突然のしびれ、突然片方の腕や脚に力が入らなくなった、という場合は、脳の病気の可能性があるため、迷わず119番に電話してください。急に強くなった、細かい作業がしにくくなった、階段で手すりが必要になった、排尿や排便の異常を伴う。こうした場合は、原因を医療機関で確かめることが先です。医療機関で神経の圧迫や病気が否定され、それでもこりや姿勢に伴う軽いしびれ感が残るときに、整体での相談が選択肢になります。

膝の痛み

日本整形外科学会は、変形性膝関節症について、初期は立ち上がりや歩き始めなど動作の開始時に痛み、進行すると正座や階段がつらくなり、末期には安静時にも痛みが続いて歩行が難しくなる、と説明しています。診断にはX線検査が用いられます。

立ち上がりや歩き始めの痛みは、この初期の症状に当たります。「動き始めだけだから」と見過ごさず、痛みが続くなら、まず整形外科でX線などの検査を受けてください。安静にしていても痛む、腫れて熱をもつ、水がたまる、膝が伸びにくい、ケガのあとに痛みが出た場合も同じです。そのうえで、医療機関で病気が確認・除外されたあと、股関節や足首の硬さからくる膝への負担については、整体で相談していただけます。医療機関での治療と並行して受けていただくこともできます。

施術を受けていて、立ち止まるべきとき

木の扉と観葉植物のある施術室の入口
※AI生成によるイメージ画像です。

一覧に当てはまらず整体を受け始めたあとでも、見直しが必要になることがあります。先ほどの厚生労働省の通知は、カイロプラクティック療法について、施術を続けても症状が増悪する場合はもとより、軽減・消失しない場合には、別の病気が隠れている可能性があるため、施術を中止して医療機関で精査を受けるよう求めています。整体を受けるときも、同じ目で経過を見てください。

HALII TOKYO.のよくあるご質問では、多くの方が3〜6回程度の施術で変化を実感されるとご案内しています。当院では、3〜6回施術しても変化がない場合は、施術を続けるより先に医療機関での確認をおすすめしています。この回数は当院の運用上の目安で、効果を保証する回数ではありません。途中で症状が悪化したり新しい症状が出たりした場合は、3〜6回まで待たずに施術を中止して医療機関へ相談してください。「すぐに119番」の症状がある場合は、その場で119番に電話してください。「整体に通っているから大丈夫」と考えず、変化がなければ立ち止まる。それも施術の一部だと考えています。

HALII TOKYO.での確認の仕方

初回は、タブレットでのカウンセリング入力のあと、問診と検査を行います。ここで、上の一覧にあるようなサインがないかも確認します。該当する場合は、施術をせずに医療機関の受診をご案内することがあります。提携している整形外科へのご紹介も可能です。「すぐに119番」の症状が出ているときは、来院せず、その場で救急車を呼んでください。

一覧に該当しない場合でも、問診や検査の内容によっては受診を先におすすめすることがあります。施術を進める場合は、身体の状態を説明しながら行い、施術後にもう一度検査をして変化を一緒に確認します。「病院に行くほどかどうか分からない」という段階でのご相談も受けていますので、迷ったときは、まず問診でお話を聞かせてください。

参考文献