骨盤矯正は何回通えばよいのでしょうか。HALII TOKYO.では5〜10回程度を一つの目安としてご案内しています。ただし、これは院の案内上の目安で、全員に必要な回数や効果を保証する数字ではありません。

「骨盤がゆがんでいるから、元に戻るまで通わなければならない」と考える前に、その「ゆがみ」が何を指しているのかを整理したいと思います。この記事では、骨盤の左右差と腰痛の研究、院での確認の仕方、回数を相談するときに大切にしたい点を順に説明します。回数についての院の案内は、骨盤矯正・全身整体のよくあるご質問でもご確認いただけます。

HALII TOKYO.総院長 影島陽祐

SUPERVISOR / この記事の監修者

影島 陽祐

株式会社COmedi 執行役員 CTO
HALII TOKYO.総院長 / HALII Academy代表

資格鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師

  • Massage World Championship2025 特別セミナー登壇
  • Asia Massage Championship2026 特別セミナー登壇

「骨盤のゆがみ」が指しているもの

白い施術室に置かれた木のスツールとタオル
※AI生成によるイメージ画像です。

「骨盤のゆがみ」と説明されたときは、左右の高さの差を見ているのか、前後の傾きを見ているのか、それとも動きにくさを指しているのかを確認してみてください。今回取り上げる研究でも、左右差と傾斜は別の指標として扱われています。同じ「ゆがみ」という言葉でまとめると、何を測り、何を変えたいのかが曖昧になります。

HALII TOKYO.の骨盤のゆがみについての案内では、姿勢や筋肉の状態に目を向ける院の考え方を「骨盤はゆがみません」と表現しています。この表現は、骨折や脱臼、病気による構造の変化まで否定する意味には受け取らないでください。日本整形外科学会の腰痛の解説でも、骨折・脱臼やさまざまな病気が腰痛の原因になり得ると説明されています。

見た目に左右差があることと、その差が痛みの原因であることは、分けて考える必要があります。「筋肉に引かれた傾きが原因」と、見た目だけで決めつけることもできません。次に、その点を研究から確認します。

研究では、左右差と腰痛の関係は弱い

1999年の骨盤の左右差と腰痛を調べた研究では、21〜50歳の腰痛のある144人と、腰痛のない138人を比較しました。骨盤の後ろ側にある目印の左右差には弱い関連がみられましたが、著者は、骨盤の左右差と腰痛に臨床的に意味のある正の関連は認められなかったと結論づけています。「左右差があれば腰痛になる」とは言えない結果です。

2025年に掲載された静止姿勢と腰痛のシステマティックレビューは、腰痛のある5,097人と、ない6,974人を含む46研究を対象とし、そのうち36研究をメタ解析しました。骨盤の傾斜の指標は腰痛のある人で平均的にやや大きかったものの、研究間のばらつきが大きく、著者らは明確な結論を出せないとしています。

いずれも、姿勢の違いと腰痛の「関連」を調べた研究です。傾きが痛みを起こしたのか、痛みがあって姿勢が変わったのかを、この結果だけでは判断できません。また、骨盤矯正の施術法や、何回通うとよいかを検証した研究でもありません。

院としても、見つかった左右差だけを説明の終わりにせず、どんな動作で困っているのか、状態がどう変わるのかを確認していきたいと考えています。

院では、姿勢と動き・施術後の変化を確認します

施術ベッドの脇に置かれたタブレットとノート
※AI生成によるイメージ画像です。

HALII TOKYO.では、問診と検査で状態を確認し、施術の方針を考え、施術後に再評価する流れを大切にしています。骨盤だけを切り離すのではなく、全身の連動や身体の使い方も含めて確認し、身体の状態をご説明します。来院から施術後までの流れは、施術の流れをご覧ください。

相談の際は、「左右の高さが気になる」ということに加えて、いつから、どんな動作で、どのように困っているかをお伝えください。見た目をそろえることだけを目標にせず、生活の中の困りごとと施術後の変化を一緒に確認するためです。

ただし、整体での確認は、医師の診断や画像検査の代わりにはなりません。痛みが強い、しびれがある、悪化しているといった場合は、後の節でご紹介する受診の目安を優先してください。

骨盤矯正の回数は、状態を確認しながら考えます

院のよくあるご質問では、個人差があることを前提に5〜10回程度をご案内しています。これは、今回の研究から導かれた回数ではありません。「5〜10回で骨盤の位置が戻る」「その回数で身体が必ずよい状態を覚える」と、医学的に確立した数字として受け取らないでください。

FAQでは、初回のカウンセリングや施術を踏まえて通院計画を提案するとご案内しています。通う目的や生活の中で困っていること、施術後にどのような変化があったかを共有し、回数や間隔をご相談ください。必要な回数を、骨盤の左右差だけから決めることはできません。

また、目安の回数に達するまで、痛みや悪化を我慢して通い続ける必要はありません。厚生労働省の医業類似行為に関する通知は、カイロプラクティック療法について、症状が悪化する場合や軽減・消失しない場合に、施術を中止し医療機関で精査を受けるよう求めています。これは当院の整体そのものを検証した資料ではありませんが、経過を見て受診を優先する際の注意として参考にしています。

「何回なら必ずよくなるか」よりも、何の変化を確認し、改善しないときにどうするかまで相談できることを大切にしてください。

先に医療機関で確認したい腰の症状

日本整形外科学会は、腰痛の受診の目安として、安静でも痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱、脚のしびれや力の入りにくさ、尿漏れなどがある場合に、すみやかな整形外科受診を勧めています。整体の回数を考える前に、原因を医療機関で確かめてください。

なかでも、腰痛とともに両脚のしびれ・脱力がある、陰部や肛門の周りの感覚が鈍い、尿が出にくい・尿や便を漏らすといった変化がある場合は、通常の予約を待たず、すぐに救急外来へ相談してください。英国NHSの腰痛案内でも、これらは直ちに救急対応を求める症状に挙げられています。

妊娠中からの骨盤周囲の痛みが産後も続く場合も、「産後だから」「ゆがみだから」と自己判断せず、産婦人科やかかりつけ医へ相談してください。英国王立産婦人科医会の骨盤帯痛の案内は、出産後も痛みが続く場合、ほかの原因を確認するため医師に相談するよう勧めています。

ここで挙げた症状がないことは、病気がないことの証明にはなりません。詳しい案内は、症状別・まず医療機関で確認したいサインにもまとめています。

来院前に知っておいていただきたいこと

骨盤矯正の回数を考えるときは、次の3つを覚えておいていただければと思います。

  • 骨盤の左右差や傾きが見つかっても、それだけで痛みの原因や必要な回数は決められません。
  • 5〜10回という院の案内は一つの目安です。効果や定着を保証する数字ではなく、状態や経過を共有して相談するためのものです。
  • 症状が続く、悪くなる、しびれなど新しい症状が出る場合は、目安の回数まで待たず医療機関で確認してください。緊急のサインがある場合は救急対応を優先します。

「ゆがみ」という言葉だけにとらわれず、何に困っているかを整理することから始めてください。受診が必要な症状を確認したうえで、身体の使い方や姿勢について相談したい方は、骨盤のゆがみについての案内や腰痛についての案内もご覧いただければと思います。

参考文献