座っている時間が長い人ほど腰痛が多い。これは調査で出ている。でも「立てば治る」とは、研究はまだ言っていない。
『電車で座って、会社で座って、帰ってまた座る。腰が重いのは当たり前かも』。大宮から都内へ通う方、大宮で働く方のなかに、こう感じている人は多いと思います。この記事では、座る時間と腰痛の関係を調べた研究、厚生労働省が示している座り仕事の目安、そしてHALII TOKYO.整体院 大宮東口店でできることを、数字と一緒に書きます。
SUPERVISOR / この記事の監修者
久保 聖史
株式会社COmedi 代表取締役
資格柔道整復師
- Asia Massage Championship2024 審査員
- Massage World Championship2025 審査員
- Asia Massage Championship2026 審査員
座る時間と腰痛には、どんな関連があるのか

2021年に発表されたシステマティックレビューとメタ解析は、座っている時間(座位行動)と筋肉・関節の痛みの関係を調べた79の研究をまとめたものです。
仕事中の座位について、自己申告で座る時間が長い人は、腰痛を持つオッズ比が1.47(1.12〜1.92)、首・肩の痛みは1.73でした。1日全体で見ても、座る時間が長い人は腰痛のオッズ比が1.19。オッズ比は「腰痛になる確率が何倍」という数字ではありませんが、座る時間が長い人のほうに腰痛を持つ人が多い、という関連ははっきり出ています。
ただし、これはほとんどが「ある時点で測った」横断研究です。座るから腰痛になったのか、腰痛だから座っているのかは、この形の研究では区別できません。著者らも「逆の因果を否定できない」と書いています。時間を追って調べた前向き研究では、結論は出ていませんでした。
もう一つ、同じレビューで重要なのは、介入研究のまとめです。職場で座る時間を減らす取り組みをした研究では、腰痛、首・肩の痛み、全身の痛みが減っていました。「座る時間を減らすと痛みが減る」方向の証拠は、ここにあります。
じゃあ、立てば治るのか
ここで期待しすぎないために、別の2つのレビューを並べます。
2018年のメタ解析は、座ったり立ったりできる昇降デスク(スタンディングデスク)と腰の不快感の関係を、8つの研究でまとめました。腰痛のない人が昇降デスクを使うと、腰の不快感は小さく下がる(効果量−0.23)という結果でした。著者らは「座り仕事の人では、姿勢を変えることが腰痛の発生を減らすかもしれない」としつつ、どのくらい立てばよいかの「量」は分かっていない、と書いています。
一方、2019年のコクランレビューは、座り仕事の人に立つ・歩くを増やす職場の取り組みを、10研究955人でまとめました。昇降デスクを使った群と使わなかった群で、短期(6か月未満)の腰の症状の強さに統計的に意味のある差はなし(効果量−0.35、信頼区間は0をまたぐ)。証拠の質は低く、昇降デスクによる腰の不快感を6か月以上追った研究は含まれていませんでした。
てことは、3つのレビューは、対象も介入も測っているものも違っていて、「立つ時間を増やすと腰痛が減る」とも「減らない」とも、まだ言い切れない。腰痛のない人で不快感が小さく下がった研究はあるが、すでに腰痛がある人の治療として効くかは別の話で、どのくらい立てばよいかも決まっていません。昇降デスクを買えば解決、という話ではありません。ここから先は研究の結論ではなくボクの提案ですが、「立つか座るか」で考えるより、「同じ姿勢を続ける時間を区切る」ほうが、国の指針の考え方にも沿っていて無理がないと思っています。
厚労省の指針は「同一姿勢を長時間取らない」

厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年改訂)は、座り仕事について、かなり具体的に書いています。
- 立位、椅座位を問わず、同一姿勢を長時間取らないこと。長時間の座位作業では、適宜、立位姿勢を取るように心がける
- 椅子に深く腰を掛けて、背もたれで体幹を支え、足裏全体が床に接する姿勢を基本とする
- 前傾姿勢を避ける。適宜、立ち上がって腰を伸ばす等、姿勢を変える
- 適宜、休憩時間を設け、その時間には姿勢を変える。作業時間中にも小休止・休息が取れるようにする
「何分に1回」という数字は、この指針にはありません。「適宜」です。パソコン作業のガイドラインには「1時間以内で1サイクル、サイクルの間に10〜15分の作業休止」とありますが、これは目や疲労のための作業管理の目安で、腰痛が減ると検証された「立つ回数」ではありません。そのうえで、ボクが生活の目安として提案したいのは、この1時間を借りて「1時間に1回は立つ」。根拠のある治療量ではなく、続けやすい区切りとして、です。
通勤の電車についても、職場の指針をそのまま当てはめることはできません。混雑した車内で無理に立つ、揺れる車内で姿勢を変える、といったことは転倒の危険があります。腰の症状が強い日や混雑時に、立つことを無理に優先しないでください。座れた日は、乗り換えや駅で歩く時間が自然に「同じ姿勢を続ける時間」の区切りになります。無理のない範囲で、で十分です。
整体の前に、医療機関で確認したい腰痛
腰痛のなかには、整体で様子を見てはいけないものがあります。日本整形外科学会は、安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱している、脚がしびれたり力が入らない、尿漏れがする、といった症状を伴う場合は、放置せずすみやかに整形外科を受診するよう求めています。突然片方の脚に力が入らなくなった場合は、受診を待たず119番です。
転倒やケガのあとの腰痛も、先に整形外科で骨の状態を確認してください。この一覧はすべての病気を網羅していません。当てはまらなくても、原因が分からない、何週間も続く、だんだん悪くなる、という腰痛は医療機関で確認することを優先し、「座っているせいだろう」と自分で決めないでください。医療機関で病気が否定されたうえで残る、座り仕事や通勤の姿勢に伴う腰の重さ・張りは、整体で相談していただけます。
大宮東口店でできること
HALII TOKYO.整体院 大宮東口店は、JR「大宮駅」東口から徒歩7分。営業時間は10:00〜19:30、定休日はありません。駐車場はないので、お車の方は近隣のパーキングをご利用ください。
腰痛のご相談では、初回の問診と検査で、腰の局所だけでなく、全身の連動や原因になっている組織を見立てます。検査から仮説を立て、身体の状態を説明しながら施術を進め、施術後にもう一度検査をして変化を確認する。この流れで進めます。
そのうえで、アフターフォローでは、状態の説明とあわせて、ご自宅や仕事中にできるセルフケアをお伝えします。来院から施術後までの案内は、施術の流れをご覧ください。
今日、座っていた時間を足し算してみてください。通勤、仕事、食事、帰りの電車、家。何時間になりましたか? その数字で腰痛の原因が決まるわけではありませんが、生活を振り返る材料には、なると思います。
参考文献
- Dzakpasu FQS, et al. Musculoskeletal pain and sedentary behaviour in occupational and non-occupational settings: a systematic review with meta-analysis. International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity. 2021;18:159. 資料を読む
- Agarwal S, et al. Sit-stand workstations and impact on low back discomfort: a systematic review and meta-analysis. Ergonomics. 2018;61(4):538-552. 資料を読む
- Parry SP, et al. Workplace interventions for increasing standing or walking for decreasing musculoskeletal symptoms in sedentary workers. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2019;(11):CD012487. 資料を読む
- 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日 基発0618第1号 別添) 資料を読む
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」パンフレット 資料を読む
- 公益社団法人 日本整形外科学会「腰痛」 資料を読む
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」 資料を読む
- HALII TOKYO.「施術の流れ」(院のアフターフォローの案内) 資料を読む
