運転席から降りた瞬間、腰がまっすぐ伸びない。その数秒が、毎日少しずつ長くなっていませんか。

「通勤も仕事も買い物も車。一日で歩く時間より、ハンドルを握っている時間のほうが長い」。伊勢崎で、車での移動が長い方のなかには、こんな日もあるかもしれません。この記事では、運転する人の腰痛を調べた研究で何が分かっていて、何がまだ分かっていないのか、厚生労働省が「車両を運転する作業」について具体的に書いていること、そして伊勢崎クロスパーク整体院で相談できることを、順番に書きます。

株式会社COmedi 代表取締役 久保聖史

SUPERVISOR / この記事の監修者

久保 聖史

株式会社COmedi 代表取締役

資格柔道整復師

  • Asia Massage Championship2024 審査員
  • Massage World Championship2025 審査員
  • Asia Massage Championship2026 審査員

運転を仕事にする人の腰痛を調べた研究

運転席で腰に手を当てる女性のイメージ
画像はAIによるイメージです。

数字から入ります。

2020年に発表されたシステマティックレビューは、トラック、バス、タクシーなど14種類の職業ドライバーを対象にした56の研究(23か国、合計18,882人)をまとめたものです。何らかの筋肉・関節の痛みを持つ人の割合は、研究によって43.1%から93%。部位別では腰がいちばん多く、腰痛を持つ人の割合をまとめると53%(9,998人分のデータ)でした。次に首、肩、背中の上のほうと続きます。

腰痛の報告をまとめた推定値は53%。研究ごとに調査時期や対象は異なるため、すべての職業ドライバーに当てはまる数字ではありません。

ただし、これは「職業ドライバー」の数字です。1日に何時間も運転席に座り、荷物の積み下ろしもする人たちの話で、通勤で片道30分乗る人に、そのまま当てはめることはできません。研究の国も、車も、道路も、日本とは違います。ここは、数字の大きさに引っ張られないでください。

運転時間と腰痛の関係は、結論が出ていない

同じ研究グループが2023年に出した、もう一つのレビューが、ボクには面白かった。

こちらは54の研究を集めて、職業ドライバーの腰痛や筋肉・関節の不調が、どの要因と「原因と結果」の関係にあるかを、疫学の基準(ブラッドフォード・ヒルの基準)で評価したものです。

強い証拠があったのは、全身への振動、不自然な姿勢、持ち上げ作業、人力での荷物の取り扱い、仕事のストレス、仕事の要求の高さ、そして「過去に痛みがあったこと」。中くらいの証拠は、座り心地の悪い座席と、仕事への満足度の低さ。

一方で、運転歴の年数、運転時間の長さ、年齢や体格については、証拠が一致せず「結論が出ない」でした。

ほんでもって、これが大事なところです。このレビューでは、振動や不自然な姿勢、荷物の取り扱いなどについて強い証拠があると評価されました。一方、運転時間は証拠が一致せず、結論が出ていません。個々の人の腰痛の原因を、この結果だけで決めることはできません。

この結果も職業ドライバーのもので、通勤や買い物の運転で同じ要因が同じ強さで働くかは、調べられていません。ただ、「振動」「同じ姿勢」「降りてすぐ荷物を持つ」は、仕事でなくても起きることです。

通勤の車でも、腰痛は増えるのか

職業ドライバーではなく、普通に車に乗る人を調べた研究もあります。

2002年に英国で発表された調査は、年間の走行距離が少ない人から多い人まで(仕事の一部として運転する人を含む)を対象に、聞き取りで筋肉・関節の不調を調べたものです。結果は、車の運転時間が長いことと、腰痛による病欠には関連があり、仕事の一部で運転する人は、座り仕事や立ち仕事の人より腰痛のリスクが高そうだ、というもの。年間走行距離が多いほど不調の訴えは増え、座席や位置の調節できる範囲が広い車に乗っている人は、訴えが少なかった、とあります。

ただし、この調査は20年以上前の英国のもので、ある時点の聞き取りです。運転が長いから腰痛になったのか、腰痛がある人が運転の多い働き方をしていたのかは、この形では分かりません。「調節できる車に乗れば腰痛が減る」も、まだ仮説の段階です。

この調査では仕事で運転する人も含め、年間走行距離が多いほど不快感の訴えが多くありました。通勤だけの運転について、運転時間と腰痛の関係を確かめた結果としては扱えません。

厚労省が「運転する作業」について書いていること

車のそばで腰に手を当てる女性のイメージ
画像はAIによるイメージです。

厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」には、「車両運転等の作業」という項目があります。トラックやバス、タクシーの運転のように「長時間の姿勢拘束下で振動にばく露する」と、腰に過度の負担がかかって腰痛が発生しやすい、という前提で、事業者に次のような対策を求めています。

  • 運転座席:座面と背もたれの角度が調整でき、腰と背中を安定して支え、振動をよく減衰する座席が望ましい。運転を始める前に、座面角度・背もたれ角度・座席の位置を適正に調整させる。振動を抑える座席にできない場合は、クッション等で振動の軽減に努める
  • 時間管理:総走行距離や一連続運転時間の管理を適切に行い、適宜、小休止・休息を取らせる。小休止の際は車両から降りてストレッチングなどを行い、筋疲労からの回復を図る
  • 荷物:長時間運転したあとに重い物を扱う場合は、小休止・休息とストレッチングを行ったあとに作業させる

これは職場の事業者向けの指針で、「通勤の運転は何分に1回休め」とは書いていません。ここからは指針を離れて、ボクの置き換えです。指針の3つを、ひとりの運転に当てはめると、こうなると思っています。

乗る前に、背もたれと座席の位置を自分に合わせる。長く乗る日は、途中で一度降りて腰を伸ばす。そして、降りた直後に重い荷物を持たない。買い物袋も、荷台の荷物も、腰を一度伸ばしてからにする。

目新しさはゼロです。でも、職業ドライバーの研究で「強い証拠」が付いていたのは、全身の振動、不自然な姿勢、持ち上げ作業などでした。狙いどころは、そこでいいと思います。腰の症状が強い日や、運転中に脚にしびれが出る日は、この提案より先に、次の項目を読んでください。

整体より先に、医療機関で確認したい腰痛

腰痛のなかには、整体で経過を見てはいけないものがあります。日本整形外科学会は、安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱している、脚がしびれたり力が入らない、尿漏れがする、といった症状がある場合は、放置せず、すみやかに整形外科を受診するよう求めています。

突然、片方の脚に力が入らなくなった場合は、受診を待たずに119番です。これは通常の受診とは別の話として、分けて覚えておいてください。

交通事故のあとの腰痛や、転倒後・荷物を持ち上げた後の強い腰痛も、先に医療機関で相談してください。必要な検査は医師が判断します。この一覧は、すべての病気を網羅したものではありません。当てはまらなくても、原因が分からない、何週間も続く、だんだん悪くなる、という腰痛は医療機関で確認することを優先し、「運転のせいだろう」と自分で決めないでください。医療機関で病気が否定されたうえで残る、運転や同じ姿勢に伴う腰の重さ・張りは、整体で相談していただけます。

伊勢崎クロスパーク整体院でできること

伊勢崎クロスパーク整体院は、群馬県伊勢崎市上田町93番地3、クロスパークテナントB。県道293号沿いで、駐車場があります。夜20時まで営業していて、ネット予約は24時間受け付けています。お子様連れでの来院もできます。営業時間と定休日の詳細は、公式サイトでご確認ください。

腰痛のご相談では、国家資格を持つスタッフが、まずお悩みを伺い、身体の状態を確認したうえで、不調の原因を説明しながら施術を進めます。腰だけでなく、骨盤や背骨、肋骨なども含めて身体の状態を確認します。腰痛にはさまざまな原因があり、整体で病気の診断はできません。痛みの原因や予防についても、気になることはその場で聞いてください。

ひとつ、聞かせてください。運転席の背もたれと座席の位置、最後に合わせたのはいつですか? 家族と車を共有している方は、乗るたびにずれているかもしれません。乗る前の10秒で、できることです。

参考文献